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管理会社の収支報告書の見方|賃料・管理費・預り金と記帳の基本

公開 2026年10月22日 / 大家のセンセイ 編集部

管理会社から毎月届く収支報告書(送金明細)には、賃料・共益費・管理手数料・修繕費・預り金・振込額など、いくつもの項目が並んでいます。ここで振込額(実際に口座へ入ってきた金額)だけを帳簿の収入にしてしまうと、管理会社が差し引いた管理費や修繕費が必要経費として帳簿に残らず、確定申告の決算書もうまく埋まりません。この記事では、収支報告書に出てくる項目の読み方と、総額で分けて記帳する基本的な考え方、預り金の扱いを説明します。

収支報告書に出てくる主な項目

管理会社ごとに書式は異なりますが、賃貸経営の収支報告書(送金明細書・送金案内と呼ばれることもあります)には、おおむね次のような項目が並びます。

帳簿につける際にいちばん注意したいのは、最後の「振込金額」をそのまま収入として記帳しないことです。

振込額だけを収入にしてはいけない理由

この記事は、令和7年分の確定申告を前提に説明します。不動産所得の収入に計上すべき時期は、原則として契約や慣習によって支払日が定められている場合はその支払日であり、必要経費はその年に債務が確定した金額です。振込額は「収入-管理手数料-修繕費等」をまとめて相殺したあとの金額にすぎず、収入と必要経費のどちらの金額でもありません。振込額だけを帳簿につけると、次のような不都合が起きます。

決算書・収支内訳書は、収入金額と必要経費をそれぞれ別の欄に記入する様式になっています。賃料収入と管理費・修繕費を総額で分けて記帳しておけば、この様式への転記もそのまま進められます。様式全体の構成は青色申告決算書の書き方の記事で説明しています。

記帳の計算例

月額賃料10万円・共益費5千円の部屋で、管理手数料5,500円(消費税込み)、修繕費の立替が8千円あった月の例です。

項目金額帳簿での扱い
賃料100,000円収入
共益費5,000円収入
管理手数料△5,500円必要経費(管理費)
修繕費(立替)△8,000円必要経費(修繕費)
振込金額91,500円預金口座の入金額

この月の収入は105,000円(賃料+共益費)、必要経費は13,500円(管理手数料+修繕費)で、「収入105,000円-必要経費13,500円=振込額91,500円」という関係になります。帳簿には、普通預金91,500円の入金と合わせて、管理費5,500円・修繕費8,000円の支出、賃料・共益費105,000円の収入を分けて記帳します。振込額の91,500円だけを収入として一行で記帳すると、この13,500円の必要経費がどこにも残りません。修繕費の内容によっては、金額や周期によって資本的支出(減価償却の対象)になることもあります。判断に迷う場合は修繕費か資本的支出かの判定で目安を確認してください。

預り金(敷金・保証金)はそのまま収入にしない

収支報告書に「預り金」として新規入居者の敷金・保証金が載っていても、これをそのまま収入にはできません。敷金・保証金は、原則として退去時に入居者へ返還する前提の金銭であり、受け取った時点では賃貸人の収入になりません。不動産所得の収入とされるのは、契約などによって返還を要しないことが確定した部分だけです(敷引き・解約時の償却条項など、契約条件によって定められた金額)。全額を退去時に返す契約であれば、受け取った年にも返す年にも、収入としては計上しません。

そのため、帳簿上は預り金をいったん預り金(負債)として記録し、返還しないことが契約などで確定した時点でその金額を収入に振り替える、という扱いになります。収支報告書の「預り金」欄の金額を、受け取った月の収入に含めてしまうと、本来は後日返すはずのお金まで所得として数えてしまうことになります。

収支報告書でいちばんよく出てくるのは、退去時の敷金の精算です。原状回復費として敷金から差し引いた額は、返還しないことが確定した時点の収入になり、原状回復費は修繕費などの必要経費として別に計上します。未払いの賃料を敷金から差し引いた場合は、その賃料は支払日の年にすでに収入として計上しているはずなので、新たな収入にはせず、未収分の回収として扱います。敷金をいったん全額収入にしたうえで原状回復費を経費にする、という記帳はしません。

管理費・修繕費の二重計上に注意

収支報告書に載っている管理手数料や修繕費は、管理会社がすでに賃料から差し引いて(相殺して)処理した金額です。報告書に載っただけで、ご自身の帳簿への記帳が済むわけではありません。収支報告書をもとに、これらの費用をすでに帳簿へ記帳している場合、同じ支払いについて管理会社や業者が発行した領収書・請求書から再度経費を入力すると、同じ費用を二重に経費計上してしまいます。まだ記帳していなければ、まず収入と必要経費を総額で分けて記帳してください。収支報告書と、個別の領収書・請求書の両方が手元にある場合は、どちらか一方だけを帳簿に反映させるようにしてください。特に、原状回復費や小規模な修繕は、管理会社が立て替えて収支報告書に載せたうえで、あとから業者の請求書も受け取るケースがあり、見落としやすい箇所です。

よくある疑問

振込額を収入にして、あとで管理費・修繕費を経費に追加するのでも結果は同じですよね?

同じにはなりません。振込額には、すでに管理費・修繕費を差し引いた結果が反映されています。そこからさらに経費を差し引くと、同じ費用を2回引くことになり、所得が少なく計算されます(上の例なら、正しい所得は105,000円-13,500円=91,500円ですが、振込額91,500円からさらに13,500円を引くと78,000円になります)。振込額を収入として入力済みなら、差し引かれた13,500円を収入にも足して105,000円に直し、そのうえで必要経費13,500円を計上します。そもそも、決算書・収支内訳書は収入金額と必要経費を別の欄に記入し、必要経費はさらに修繕費の欄や、管理委託費を書く空欄の行など、科目ごとに別の欄に書く様式なので、総額で分けて記帳しておかないと転記のたびに計算し直す必要が出てきます。また、振込額だけを一行で記帳すると、どの月にいくらの管理費・修繕費を払ったかという内訳が帳簿から読み取れなくなります。

収支報告書に数か月分の賃料がまとめて載っている場合はどうしますか?

複数月分がまとまっている報告書は、どの月の収入・経費として計上するかの考え方が1通りとは限りません。契約や慣習で支払日が定められている場合はその支払日が原則の計上時期になり、報告書に書かれた対象月とずれることもあります。考え方の詳細は青色申告決算書の記事の「いつの収入にするか」で説明しています。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。

「送金明細書」という名前の書類でも同じ考え方ですか?

管理会社によって「収支報告書」「送金明細書」「送金案内」など呼び方は異なりますが、賃料などの収入と、管理手数料・修繕費などの支出を記載し、その差額を振り込むという内容は共通しています。呼び方にかかわらず、収入と必要経費を総額で分けて記帳する考え方は同じです。

大家のセンセイでは、管理会社から届く収支報告書や送金明細書を撮影・アップロードすると、賃料・共益費などの収入と、管理手数料・修繕費などの支出を分けて読み取り、「収入合計-控除合計=振込額」が合う形で複合仕訳の下書きを作ります。管理会社の立替費用と、別に受け取った領収書が同じ支出を指していないかは「重複の突合」で確認できます。使い方は使い方ガイド、実際の機能は大家のセンセイでご確認ください。

※ 本記事は一般的な制度の説明です。個別の事情による取り扱いは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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出典・参考