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アパートの減価償却の計算|耐用年数・中古の簡便法・設備

公開 2026年9月30日 / 大家のセンセイ 編集部

建物の代金は、買った年に全額を経費にするのではなく、耐用年数にわたって毎年少しずつ経費にします。これが減価償却です。お金は出ていかないのに経費になるので、不動産所得の計算ではいちばん大きな経費になることも珍しくありません。この記事では、令和7年分の制度に沿って、アパート・マンションの減価償却費の出し方を計算例つきで説明します。

基本の式

平成19年4月1日以後に取得した建物は定額法で計算します(建物附属設備と構築物は平成28年4月1日以後の取得分から定額法)。定額法の1年分の償却費は次のとおりです。

1年分の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

毎年同じ額を経費にし、帳簿上の価額(未償却残高)が1円になるまで続けます。取得価額には、建物の代金のほか、仲介手数料や登記費用のうち建物に対応する分など、買うためにかかった費用を含めます。

耐用年数と償却率

住宅用の建物の法定耐用年数と、定額法の償却率は次のとおりです。

構造耐用年数償却率
木造22年0.046
木骨モルタル造20年0.050
軽量鉄骨造(骨格材の肉厚3mm以下)19年0.053
軽量鉄骨造(3mm超4mm以下)27年0.038
重量鉄骨造(4mm超)34年0.030
れんが造・石造・ブロック造38年0.027
鉄筋コンクリート造(RC・SRC)47年0.022

鉄骨造は骨格材の肉厚で年数が変わります。売買契約書や建築確認の書類で確かめましょう。

買った年は月割り

年の途中で取得した場合、その年の償却費は、1年分の償却費に使い始めた月から12月までの月数を掛けて、12で割ります(月割り)。月の途中で取得しても、その月は1か月と数えます。

取得した年の減価償却費 = 取得価額 × 償却率 × 使い始めた月から12月までの月数 ÷ 12

たとえば10月15日に引き渡しを受けて貸し始めたなら、10月・11月・12月の3か月分です。売却した年も、1月から売却した月までの月割りで計算します。

中古物件の耐用年数(簡便法)

中古の建物は、新築の耐用年数をそのまま使わず、残りの使用可能期間を見積もります。見積もりが難しいときは、次の簡便法が使えます。

場合耐用年数
法定耐用年数を全部過ぎている法定耐用年数 × 0.2
一部だけ過ぎている法定耐用年数 −(経過年数 × 0.8)

計算結果の1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年にします。

築30年の木造(法定22年を全部経過):22 × 0.2 = 4.4 → 4年(償却率0.250)

築10年のRC造(法定47年の一部を経過):47 −(10 × 0.8)= 39 → 39年(償却率0.026)

簡便法を使えるのは、取得して使い始めた年だけです。また、買ったあとに取得価額の50%を超えるような大きな改修(資本的支出)をした場合は簡便法を使えないことがあります。

土地と建物の分け方

土地は減価償却しません。土地付きで買った場合は、代金を土地と建物に分け、建物の分だけを償却します。売買契約書に建物の価額が書いてあればそれを使います。書いていない場合は、契約書の消費税額から建物の価額を逆算する方法や、固定資産税評価額の比で分ける方法がよく使われます。どの方法を使ったかは記録に残しておきましょう。

設備と少額の備品

建物附属設備

建物とは別に、設備として分けて償却できるものがあります。主な耐用年数は、電気設備15年、給排水・衛生・ガス設備15年、エレベーター17年などです。部屋に取り付けるルームエアコンは、器具備品(冷房用・暖房用機器)として6年です。

10万円未満・20万円未満・30万円未満

取得価額扱い
10万円未満使い始めた年に全額を経費にできる
20万円未満一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ経費にできる
30万円未満(青色申告者)少額減価償却資産の特例で、使い始めた年に全額を経費にできる(年300万円まで)

30万円未満の特例は、令和8年4月1日以後に取得したものから「40万円未満」に広がりました(令和11年3月31日まで)。令和7年分(2025年に取得したもの)は30万円未満です。

令和4年4月以後に取得して貸付けの用に供した資産は、主要な業務として行う貸付けでない限り、これら3つの扱いが使えません。国税庁の通達では、不動産貸付業を営む人が入居者に家具や電気機器を貸し付けることは主要な業務に当たる例として挙げられていますが、個別の事情で判断が分かれることがあります。迷う場合は税務署に確認してください。

計算例

2025年4月に、築30年の木造アパートを土地付きで3,000万円(うち建物1,200万円)で買い、4月から貸し始めたとします。

耐用年数:22年を全部経過 → 22 × 0.2 = 4.4 → 4年(償却率0.250)

2025年分:1,200万円 × 0.250 × 9か月 ÷ 12 = 225万円

2026〜2028年分:1,200万円 × 0.250 = 毎年 300万円

2029年分:残りの 1,200万円 − 225万円 − 900万円 − 1円 = 74万9,999円(未償却残高1円で終わり)

構造・価額・取得年月・築年月を入れると、この表を自動で作れます:アパートの減価償却シミュレーション(登録不要)

中古の木造は耐用年数が短いため、1年あたりの減価償却費が大きくなります。そのぶん、償却が終わった年からは経費が急に減り、所得が増える点にも注意が必要です。

この計算結果は、青色申告決算書の3ページ目「減価償却費の計算」に1行ずつ書き、合計を1ページ目の「減価償却費」に写します(決算書の書き方の記事で説明しています)。

※ 本記事は一般的な制度の説明です。個別の事情による取り扱いは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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出典・参考